赴任者の集まりである爆裂メンバーにとって、誰しもサンディエゴは、仮の住処であり、集合離散は、初めからの運命だ。そうはわかっていても、メンバーが帰任するときの、心のどこかに穴の空いたような寂しさはたまらないものがある。まして今回は、創設メンバーのYOSとJunちゃんの帰任である。
木曜日は、お2人を家に招き、天麩羅でささやかな送別を行った。前菜は、カミサンの手による一品料理をいくつか。豚肉好きのJunちゃんのために用意された、だし汁に溶き卵を落とした豚肉の椀物は、肉の甘みが味わえると好評だった。このほかに、ししとうと雑魚の炒め物、ほうれん草の和え物など。 ひとしきりビールでのどを湿らした後は、いよいよ天麩羅である。食卓にセットされた天麩羅鍋の前に僕が立つだけで、意外性のある絵になるらしい。写真を撮られ、ちょっと照れくさい。この天麩羅は、少々、自信がある。とは言っても腕に覚えがあるわけではなく、揚げたてを供するところがミソだ。半分、狐色に変わりかけたところを見計らってネタを上げ、油を切って、半分に折られた和紙の敷かれた取り皿に盛ってあげると、どのお客さんも喜んだ表情を見せてくれる。熱々の天麩羅が口に入るとさらに顔がほころぶ。これが、天麩羅をやってよかったと、いつも思う瞬間だ。この日は、残念ながらキスが手に入らなかったので、ネタは、海老、烏賊、さつまいも、椎茸。冷酒を切子の御猪口でやってもらいながら、どんどん揚げていく。どれも揚げたてだから我ながら美味い。最後は、小柱、小海老、三つ葉の掻き揚げで天丼を作る。味は良かったが、具が鍋の中で散ってしまった。次回は工夫してもっと上手く揚げよう。なお、念のために申し添えると、下ごしらえをしてくれるのは、すべてカミサンである。僕は、一番いいところをやらせてもらっているだけだ。 食後は、YOSが最初に飲んだバーボンというWild Turkeyのシングルバレルを開ける。琥珀色の液体がのどを焦がしながら胃に落ちていく。同時に、バーボン特有の枯れ草のような、土臭い芳香が鼻腔を駆け上ってくる。やっぱり〆はこれに限る。ハードリカー好きのYOSはたくさん飲んでくれ、マニスもハイタッチを20回ぐらいやらされ、夜は更けていった。 土曜日。泣いても笑っても最後の爆裂だ。舞台は、快晴のBarona Creek。67号から山間に入っていったところに忽然と現れるカジノ&ゴルフリゾートだ。フェアウェーは低潅木のブッシュに囲まれていて、ミスショットは、即ハザード行きとなる。また、グリーンの芝目が非常にきつく、ラインを読むのが難しいだけでなく、距離を合わせるのも大変だ。今日の注目は、無冠の創設メンバー、YOSかFが悲願の初優勝を遂げることができるのか、それともまたもや誰かに阻まれるのか、に集まった。組み合わせは、一組目がYOS、F、カミサンにTomoさん、二組目がKさん、Junちゃん、Tomに僕。 結果は、僕が、グロス87、YOSと同ネットながら、H/C差で3度目の栄冠を獲得した。YOSやFに勝たせたい気持ちがなかったと言えば嘘になるが、それにもまして、最後の爆裂、僕は本当に真剣にプレーしたかった。そしてその通り、全力を尽くした。その結果がこれである。YOS、次は日本か、ハワイかどこになるかわからないけど、また勝負しようね。そしてJunちゃん、最後の最後に一緒にラウンドできて、光栄でした。 夜は、F邸に場所を移し、宴会。いつもながら、Kさんの豊富なラインアップには感心させられる。時間がないので、皆で分担し、料理を作る。僕は、唯一貢献できる蟹捌きを担当。キッチンに並んだご馳走の数々は壮観だった。蛸に香味野菜とチーズの細かく切ったものを振りかけた料理、鯛のマリネ、ホタテのアスパラガスとオレンジのサラダ。プチトマトのモッツァレラチーズ(?)掛け、朱色の鮮やかなアラスカンキングクラブ。枝豆やカナッペの軽いつまみもあり、さらに、ラムレーズンとチーズをボール状に練り上げたおしゃれ系の一品まで、幅の広さには感嘆するばかりだった。そして、料理はこればかりではない。庭では、FがせっせとBBQを焼いてくれたのだ。醤油の香りが鼻をくすぐるとうもろこし、各種野菜焼き始まり、メインのビーフ(これもマリネーテッドのものと素のものと二種類用意される周到さ)まで、どれもこれも心がこもっていて本当においしかった。Kさん、F、ご馳走様でした。 この日の宴会には、New JerseyのH家もSkypeで参加。場が一層盛り上がった。ヨッシー、Yumiちゃん、遅くまで付き合ってくれてありがとう。 皆、よく食べ、よく飲み、共有する最後の時を愛しむかのようによくしゃべった。僕は、いつものように途中、仮眠。 2時ごろ、主役のYOSとJunちゃんの共同スピーチ。誠実で、情感が十二分に伝わってきながら、湿っぽくならない、とても良いスピーチだった。YOS、Junちゃん、いつか、本当にカパルアで再集合したいね。プランテーションでラウンドして、その後夕日を眺めながら乾杯できたらいいね。 爆裂の幕が、これで一旦閉じられる。これほど楽しい会はなかなかあるまい。朝から晩までたっぷりと遊んだ夏休みの夕暮れの気分だ。あぁ、面白かった。そして明日が待ち遠しい。
by gomanis
| 2006-10-23 12:46
| 我が家の食卓
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