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2007年12月29日(土) San Angel Inn ~メキシコシティーのレストランその4

メキシコでいいなぁ、と思うものに、その豊かな歴史と文化が挙げられる。たとえば、各地に残る『Hacienda(アシエンダ)』もそのひとつ。『荘園』と訳されるこの言葉は、メキシコ革命前の富裕な領主が住んだ豪邸を指す。石造りで広大にして重厚、往時の栄華を偲ばせる匂いがそこかしこに残っているようだ。

a0064654_4593966.jpga0064654_4595789.jpga0064654_0512524.jpgSan Angel Innは、そんなアシエンダを改造して作られたレストラン。建物の建築は17世紀だというから、日本で言うと、関が原の戦いが終わり、江戸幕府の初期ということになろうか。石畳の回廊を進んでいくと中庭が見え、正装したウェイターが迎えてくれる。今日は、サンディエゴから遊びに来てくれた友人のK夫妻と4人。ランチの時間まで10分ほどあるので、建物を抜け、裏のガーデンを見ることにする。もう年の瀬だというのに、昼下がりの日差しはまるで初夏のように暖かく、庭の木々や花が燦燦と輝いて見える。

中庭のポーチに腰掛け、マルガリータで乾杯。氷をつめたボールに金属の酒器が埋まっており、その酒器からカクテルグラスにきりりと冷えたマルガリータが注がれる。白く半透明の液体にレモンの皮が青い背を向けて浮かんでいる。マリンブルーのクッション、噴水の水音。都会の喧騒を離れた閑静な空間。優雅だ。

K夫妻は、もちろん初めてであるので、定番のお奨めを楽しんでもらうことにした。前菜は、Escamole。蟻の卵を炒めたものだ。薄黄色の粒々が卵らしい。これをトルティアに小さじ一杯ほど盛り、ワカモーレ、サルサメヒカーナ(チリ、トマト、たまねぎなどの入った赤いさっぱりしたソース)をお好みで加え、タコスのようにして食べる。高カロリー、高コレステロール食品ということだが、旨いものは旨い。薄い塩味とサルサのおかげで、食感としてはむしろ軽い。

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サラダは、Caesar’s Salad。ここのは、ソースをテーブルのすぐ横で調製してくれる。なかなかのパフォーマンスで、お客さんはたいてい大喜びする。見所は、卵を割りいれるところ。片手でスプーンとフォークを持ち、卵を挟み上げ、野菜の入った木製のボールのふちで叩き、ひびを入れ、スプーンとフォークを器用に使い、卵をボールに割りいれるのだ。味のほうも、アンチョビなど入り、複雑でなかなか良い。




a0064654_51413.jpgメインは、Arrachera Steak。どこにでもある料理だが、ここのは格別に美味いと思う。僕は、何度も食べているので、今日は、牛タンのベラクルーズ風にしてみる。窓際に座った僕らのテーブルは、陽光がさしこみ、どの料理も光と影のコントラストがはっきりして美しく見える。ベラクルーズというのは、メキシコ湾に面した港町。僕は、まだ行ったことはないが、魚介類のおいしいところだという。ベラクルーズ風と言っているのは、牛タンにかかった赤いソースを指している。トマト、たまねぎ、白ワインがベースだと思うが、チリも入ってぴりっと辛く、さっぱりしながらもコクのある良い味に仕上がっている。タンは、今まで食べた牛タンの中で、間違いなく、一番柔らかかった。しっかりとしてはいるが、ナイフを立てるとさほど力を入れなくてもすっときれいに切れ、口に入れるととろり溶けていく。

San Angel Innに来てよかった。しかも、この店、これだけの格の高さを誇り、美味い料理を洗練されたサービスで提供しながら、値段は、非常に良心的だ。4人でワインを一本飲んで1人600ペソ弱。目下、僕の中では、メキシコシティーNo.1のレストランだ。


San Angel Inn
Diego Rivera 50 Y Altavista
Mexico City Diego Rivera 50 Mexico
+52 5 616 2222

営業時間
月曜-土曜 午後1時-午前1時
日曜 午後1時-午後10時
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by gomanis | 2007-12-30 05:10 | 美食

2007年12月15日(土) l’Alsace ~メキシコシティーのレストランその3

僕の外食記録には、評価欄がある。店を5段階評価したものだ。何点をつけるか迷わないように、わかりやすい基準も決めてある。
5:絶品、できれば常連になりたい。
4:大満足。近いうちにまた食べたい。
3:まあまあ。将来もう一度食べてもいい。
2:まあまあだが、もう一度食べるほどではない。
1:後悔している。二度と行かない。

ちなみに今年5の評価がついた店は、たとえばこのブログにも再三登場している広尾の『阿部の寿司』サンディエゴの焼肉屋『鶴橋』。前々回書いた『Bakea』も5がついた。5がつくのは、本当にまれで、4の店に出会えればラッキーという感じでいる。このメキシコシティーのレストランシリーズ(?)、基本的には、まず横メシ系で点数の高い店から順番に書いている。

a0064654_7273462.jpg前置きが長くなった。今日はMasarykにあるフランス料理の店、l’Alsace。ここに行ったのは、11月下旬だった。通りに面したビルの3階ぐらい、はす向かいにBVLGARIの店が見下ろせたと記憶している。店内は、やはりフランスっぽく赤を基調にしたインテリア。

特筆すべき一品は、魚介のスープ。メニューにはSopa Pescado al Estilo Mediterraneoとある。地中海風ということだろう。このスープ、非常に濃厚である。どろっとしている。具が見つからないのは、形がなくなるまで一緒に煮込んであるからなのだろう。褐色のスープは、海のエキスを極限まで凝縮したような味。ロブスタービスクにもっと幅を持たせて複雑にしたような味とでも表現すればよいのだろうか。メキシコの料理の水準はやはり高いとつくづく再認識するこの頃だが、特にスープにそれが現れているように思われる。この魚介スープはその代表格だ。






a0064654_7281613.jpga0064654_7283718.jpgメインは、軽く食べたかったので、タルタルステーキを頼む。確かに旨かったが、大皿のタルタルステーキは、単調で、飽きてしまう。残念。カミサンは、好物のリゾットを選んだ。これは、香ばしくソテーされたホタテも載っておいしかった。

メインディッシュをほかのものにすれば、あるいは最高評価5がついたかも知れない。次回は、別のものを頼もう。文句なしに4、大満足だ。
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by gomanis | 2007-12-16 07:34 | 美食

2007年12月10日(月) La Taverne ~メキシコシティーのレストランその2

a0064654_1436951.jpga0064654_14391255.jpgLa Taverneは、Antara Polancoというショッピングモールの中にある。このモールに入っている高級ブランドの数々を見ていると、サンディエゴのファッションバレーを歩いているのと変わらない。いや、むしろ、万人が闊歩するファッションバレーに比べ、こちらの方が社会階層的に、上のほうの人しか歩いていないように見える。つくづくこの国の貧富の差の大きさを実感させられる。そのモールの一角にソニーの直営店、“Sony Style”があり、その真上にあるのがLa Taverneだ。

店内は、赤を基調にしたカジュアルなインテリアで、パリのビストロを彷彿とさせる。入って左側には天井まで高く積まれたワインセラーがあり、その先には、市場のように魚貝類が氷の上に並べられている。

食前酒は、いつものようにSauvinigon Blanc、カミサンはChardonnay 。前菜は、上述の魚貝類から、オイスターを頼む。大きな金属の輪が2段になった什器に山盛りの氷の台が置かれ、そこにオイスターが1ダース盛られている。初めてパリでこのセッティングを見たときにはいたく感激したものだ。パリのは、確か氷がさらに2段に分かれ、そこに蛤、ムール貝、オイスター、海老などがこれでもかと載っていた。メキシコシティーは、残念ながら、貝類は身が小さくて駄目だ。海辺の街に行けばおいしいのが食べられるのだろうと期待している。ともあれ、このオイスターは、クマモトというアメリカでも非常にポピュラーな種類。小粒の牡蠣だ。まぁ、新鮮なだけでもよしとしよう。

もう一品は、Cebiche(セビッチェ)。ペルーの刺身料理だ。白身魚の刺身と野菜をレモン汁に漬け込んだものが、薄く焼いたぱりぱりのパンに挟んである。これを崩しながら食べる。癖がなくておいしい。もちろん、白ワインによく合うことこの上ない。Cebicheは、3年ほど前にペルーに旅行に行き初めて食べ、それ以来病みつきだ。ちなみに、アメリカではお目にかかったことはない。

a0064654_14371888.jpga0064654_14373843.jpgメインディッシュは、大ぶりの海老を二種類の調理法で仕上げたもの。軽くソテーした海老と、春巻きの皮に包んでパリッと揚げた海老、それらがアジアンソースで絡めた野菜の上に盛られている。味は、醤油味が基調。白飯に合いそうだ。美味い、美味い。カミサンは、そろそろステーキが恋しくなったころと見えて、フィレミニョンステーキ。付け合せはフレンチフライ。とてもアメリカンな一品だ。このステーキは焼き加減も丁度よく、カミサンは、いまだにこの日食べたステーキがメキシコで食べた中で一番美味かったと言っている。

魚貝類の前菜で始め、メインは、フレンチ、メキシカン、アメリカンと気分でいろいろ選んで楽しめるのがこの店のよいところだろう。カジュアルで楽しいフレンチビストロだ。
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by gomanis | 2007-12-11 14:42 | 美食

2007年12月9日(日) メキシコシティーのレストラン その1

a0064654_1515295.jpg東京でミシュランのガイドブックが発行され、大きな話題を呼んだ。一言で言うと、東京は、世界に冠たる美食の都と認められる結果になったらしい。そりゃそうだろう、旨い店がいっぱいあるもの。

さて、わがメキシコシティーはどうなのか。週末ごとに違う店を探訪しているのだが、なかなかブログに書く時間がなかった。そうしているうちに、記憶も薄れてきたりして、まったく惜しいことだ。完全に忘れてしまう前に駆け足でレビューしたい。

まずは、Bakea(5520-7472)。 Lomas Chapultepecという、Polancoの西のなだらかな丘陵地帯に展開する閑静な高級住宅街の中に、ぽつんとある。中もこじんまりとしていて、大勢でがやがや押しかけるよりは、少人数でゆっくりと会話を楽しみながら食事するのが良いだろう。
料理は、フレンチ-バスクとのことで、カテゴリー的にはスペイン料理に入るらしい。蝶ネクタイをしたウェイターは慇懃としていて気持ちよい。料理は、全体に薄味で上品だ。

僕のお薦めは、写真のインゲンとフォアグラのサラダ。まずは見た目が麗しい。インゲンの薄緑が鮮やかだ。立体的に盛り付けられた様がまた良い。軽いソースは、インゲンの青々しい香りを邪魔しない薄味。まったりとしたフォアグラとのコンビネーションは、絶品だ。

カミサンが頼んだのは海の幸のサラダ。蛸やホタテがきれいに盛り付けられ、上に載ったグワッカモーレがメキシコを感じさせる。こちらもいい味だった。メインディッシュには、僕は、牛肉のソテー、カミサンは、仔牛のチョップをいただく。こちらは、こってりめで赤ワインによく合った。

お値段のほうは、2人で800ペソぐらいだったか(除くシャンペン、ワイン)。ちょっと気取って美味い食事をしたいときにはもってこいの店だ。
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by gomanis | 2007-12-10 15:17 | 美食