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2010年12月24日~27日 チアパス旅行

話は前後するが、フロリダゴルフ合宿の前に、カミサンと小旅行をした。行き先は、メキシコ南部、グアテマラと国境を接するチアパス(Chiapas)州。

2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_12222673.jpg2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_1222287.jpg最大の目玉は、マヤのパレンケ(Palenque)遺跡。鬱蒼と茂ったジャングルの中に忽然と姿を現す。数万人が暮らす都市だったというが、9世紀頃に何らかの理由で遺棄され、1800年代にスペイン人が発見するまで熱帯雨林に埋もれていたそうだ。立派な神殿がいくつも建っているが、詳細は、地球の歩き方でも読んでください。


僕は、3年いる割には遺跡に疎く(ゴルフのほうが大事なので)、今までアステカの遺跡であるテオティワカン(メキシコシティー)やモンテアルパン遺跡(オアハカ)、マヤ遺跡のチチェンイッツァとウシュマル(ユカタン)ぐらいしか行ったことはないが、自分の嗜好についていくつかわかったことがある。ひとつは、森に埋もれているほうが、むき出しよりも好きだということだ。この点、マヤの遺跡は、どれも熱帯雨林に囲まれていてロマンを感じる。2番めに、神殿の中に入ったり、立体的な建築物があるほうが楽しめる。この点でもテオティワカンというのは、退屈で、ウシュマルやパレンケのほうがずっと良い。3番めに当時の様子を記録した壁画、彫刻類が多いほうが楽しめる。プリヒスパニックの遺跡は、文字による歴史の記録がないので、なんというかストーリーがない。ストーリーがないと、あぁ、古い建物の跡ですね、で終わってしまう。
2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_12221646.jpg2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_1221599.jpgこの点でもパレンケは、神殿の石彫が豊富で、服装や装飾品まで克明に描かれていて、しかも当時の王様の名前まである(正確には、2人の王が特定されていて、それぞれに名称が与えられている)。しかも、そのうちの1人は、棺とミイラまで見つかり、メキシコシティーの人類学博物館に展示されているのだ。その棺とミイラ、それにミイラがつけていた翡翠のマスクは、何度か実物を見たことがあるので、そういう意味でもパレンケはよかった。
しっとり濡れた深緑色の森に囲まれた遺跡、そこで古代の王が政(まつりごと)をしたり、神に生贄を奉げたりした情景に思いを馳せる。



2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_1211488.jpg今回、まったく期待していなかったが、見たら感動したのがオルメカ(Ormeca)文明の巨石人頭像だ。人の背丈ほどもある巨大な丸い石に人間の頭の彫刻を施したものだ。重さは、石の大きさにもよるが、20トン以上のものがざらだった。球体の石に人間の顔。像によって唇の形が違ったり、顎の肉のつき方が違ったりする。不思議なのは、奇形のモチーフが多い点だ。解説によると、奇形児は、神に選ばれし特殊な才能を持つ者とされ崇められたのではないかとのこと。ちょっと不気味でもある。像自体に美術的な価値などは見出さないが、なぜ感動したかといえば、これらの石像が、なんと紀元前10世紀ごろから彫られたというからなのだ。日本で言うと縄文時代、中国でも殷から前周のころではないか。中国やエジプトは別格として、アメリカ大陸にその時期、これだけの文明が存在していたことが驚異だ。オルメカ文明は、マヤ、アステカ、インカなど後世に出てくる文明の揺籃なのだ。
ちなみにこれらが出土したのは、タバスコ州とベラクルース州の境辺り。展示されているのは、タバスコ州の州都ベジャエルモサ(Villahermosa)の屋外博物館である。


2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_12204874.jpg2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_12344297.jpg今回の旅行で、ほかに面白かったのは、チアパス州の様々なインディオの集落。村によって、ユニフォームがあるのだ。たとえばSan Juan Chamulaという村の人は、女性は例外なく黒く厚地のウールのスカートを履いている。男性は、同じように黒のウールの上着かベストを着ている。老若男女この決まりを全員守っているところがすごい。山ひとつ隔てた隣の村に行くと、今度は、皆、花柄の洋服を着ている。女性だけでなく男も花柄なのだ。人の顔を観察するに明らかに同じ人種なのだが、コミュニティーとしてはお互い排他的で交わらない。

ベーリング海峡が陸続きだったころ(か凍結していたか知らないが)、アジア人が渡ってきたのは1万年以上も前らしい。15世紀にスペイン人がこの地を征服した時に、住んでいた人々を統治するために、山の中にばらばらに住んでいたインディオをまとめ集落を作らせ、識別しやすいように集落ごとに服装を定めたのだという。それが500年以上経った今でも自律的に維持されているのだ。不思議なものだ。

前述のChamulaは、きわめて固陋な習慣を持つそうで、たとえば、村によそ者は泊めないのだという。たとえば何かの修理で外から技術者が来て一日で仕事が終わらなかったとしても、村には泊めない。技術者はいったん村の外に出て夜をすごし、翌朝戻ってこなくてはならないのだそうだ。また、村人以外と婚姻を結ぶ場合は村から追放が掟。村出身の出嫁した娘さんは、里帰りしてもいいが、外出身の婿殿は、村には泊まれない。それから、村人にカメラを向けてはいけない。タブーなのだそうだ。教会があるのだが、中で写真撮影は禁止。ペンシルバニアのアーミッシュの村を思い出した。いやいや、メキシコ(というか中南米)は、奥が深い。


2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_12112689.jpg2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_12103215.jpgチアパスは、また自然の宝庫でもある。Tuxtla Gutierrez近郊のスミデロ峡谷は、チアパスを代表する景勝地だし、パレンケへ行く途中で寄ったAgua AzulもMisol-Haの滝もなかなかのものだった。イグアスをみてしまうと、あとはどんな滝もちゃっちく見えちゃうけどね。


2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_12193634.jpg2010年12月24日~27日 チアパス旅行_a0064654_1222371.jpg町は、やはりSan Cristobal de Las Casasが綺麗だった。以前、人から聞いたイメージでは、スイスの小都市のようなところかと思ったが、そうではなく、やはりメキシコらしい町だった。San Miguel de Allendeに似てるかな。黄色い壁、赤い屋根、石畳。中央にパティオのあるスペイン様式の屋敷、大聖堂、ソカロ、それらが織り成す独立前の古きNueva Espanaの雰囲気を色濃く残す町だ。ただし、僕らが行ったころは、国内外から若い観光客がたくさん集まっていた。夜通し続く大音響のパーティーで眠れませんでした。。。

結論。チアパスは、結構お勧めです。
by gomanis | 2011-01-07 12:27 | 一般


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