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メキシコでいいなぁ、と思うものに、その豊かな歴史と文化が挙げられる。たとえば、各地に残る『Hacienda(アシエンダ)』もそのひとつ。『荘園』と訳されるこの言葉は、メキシコ革命前の富裕な領主が住んだ豪邸を指す。石造りで広大にして重厚、往時の栄華を偲ばせる匂いがそこかしこに残っているようだ。
![]() ![]() ![]() 中庭のポーチに腰掛け、マルガリータで乾杯。氷をつめたボールに金属の酒器が埋まっており、その酒器からカクテルグラスにきりりと冷えたマルガリータが注がれる。白く半透明の液体にレモンの皮が青い背を向けて浮かんでいる。マリンブルーのクッション、噴水の水音。都会の喧騒を離れた閑静な空間。優雅だ。 K夫妻は、もちろん初めてであるので、定番のお奨めを楽しんでもらうことにした。前菜は、Escamole。蟻の卵を炒めたものだ。薄黄色の粒々が卵らしい。これをトルティアに小さじ一杯ほど盛り、ワカモーレ、サルサメヒカーナ(チリ、トマト、たまねぎなどの入った赤いさっぱりしたソース)をお好みで加え、タコスのようにして食べる。高カロリー、高コレステロール食品ということだが、旨いものは旨い。薄い塩味とサルサのおかげで、食感としてはむしろ軽い。 ![]() ![]() サラダは、Caesar’s Salad。ここのは、ソースをテーブルのすぐ横で調製してくれる。なかなかのパフォーマンスで、お客さんはたいてい大喜びする。見所は、卵を割りいれるところ。片手でスプーンとフォークを持ち、卵を挟み上げ、野菜の入った木製のボールのふちで叩き、ひびを入れ、スプーンとフォークを器用に使い、卵をボールに割りいれるのだ。味のほうも、アンチョビなど入り、複雑でなかなか良い。 ![]() San Angel Innに来てよかった。しかも、この店、これだけの格の高さを誇り、美味い料理を洗練されたサービスで提供しながら、値段は、非常に良心的だ。4人でワインを一本飲んで1人600ペソ弱。目下、僕の中では、メキシコシティーNo.1のレストランだ。 San Angel Inn Diego Rivera 50 Y Altavista Mexico City Diego Rivera 50 Mexico +52 5 616 2222 営業時間 月曜-土曜 午後1時-午前1時 日曜 午後1時-午後10時 ▲
by gomanis
| 2007-12-30 05:10
| 美食
僕の外食記録には、評価欄がある。店を5段階評価したものだ。何点をつけるか迷わないように、わかりやすい基準も決めてある。
5:絶品、できれば常連になりたい。 4:大満足。近いうちにまた食べたい。 3:まあまあ。将来もう一度食べてもいい。 2:まあまあだが、もう一度食べるほどではない。 1:後悔している。二度と行かない。 ちなみに今年5の評価がついた店は、たとえばこのブログにも再三登場している広尾の『阿部の寿司』やサンディエゴの焼肉屋『鶴橋』。前々回書いた『Bakea』も5がついた。5がつくのは、本当にまれで、4の店に出会えればラッキーという感じでいる。このメキシコシティーのレストランシリーズ(?)、基本的には、まず横メシ系で点数の高い店から順番に書いている。 ![]() 特筆すべき一品は、魚介のスープ。メニューにはSopa Pescado al Estilo Mediterraneoとある。地中海風ということだろう。このスープ、非常に濃厚である。どろっとしている。具が見つからないのは、形がなくなるまで一緒に煮込んであるからなのだろう。褐色のスープは、海のエキスを極限まで凝縮したような味。ロブスタービスクにもっと幅を持たせて複雑にしたような味とでも表現すればよいのだろうか。メキシコの料理の水準はやはり高いとつくづく再認識するこの頃だが、特にスープにそれが現れているように思われる。この魚介スープはその代表格だ。 ![]() ![]() メインディッシュをほかのものにすれば、あるいは最高評価5がついたかも知れない。次回は、別のものを頼もう。文句なしに4、大満足だ。 ▲
by gomanis
| 2007-12-16 07:34
| 美食
![]() ![]() 店内は、赤を基調にしたカジュアルなインテリアで、パリのビストロを彷彿とさせる。入って左側には天井まで高く積まれたワインセラーがあり、その先には、市場のように魚貝類が氷の上に並べられている。 食前酒は、いつものようにSauvinigon Blanc、カミサンはChardonnay 。前菜は、上述の魚貝類から、オイスターを頼む。大きな金属の輪が2段になった什器に山盛りの氷の台が置かれ、そこにオイスターが1ダース盛られている。初めてパリでこのセッティングを見たときにはいたく感激したものだ。パリのは、確か氷がさらに2段に分かれ、そこに蛤、ムール貝、オイスター、海老などがこれでもかと載っていた。メキシコシティーは、残念ながら、貝類は身が小さくて駄目だ。海辺の街に行けばおいしいのが食べられるのだろうと期待している。ともあれ、このオイスターは、クマモトというアメリカでも非常にポピュラーな種類。小粒の牡蠣だ。まぁ、新鮮なだけでもよしとしよう。 もう一品は、Cebiche(セビッチェ)。ペルーの刺身料理だ。白身魚の刺身と野菜をレモン汁に漬け込んだものが、薄く焼いたぱりぱりのパンに挟んである。これを崩しながら食べる。癖がなくておいしい。もちろん、白ワインによく合うことこの上ない。Cebicheは、3年ほど前にペルーに旅行に行き初めて食べ、それ以来病みつきだ。ちなみに、アメリカではお目にかかったことはない。 ![]() ![]() 魚貝類の前菜で始め、メインは、フレンチ、メキシカン、アメリカンと気分でいろいろ選んで楽しめるのがこの店のよいところだろう。カジュアルで楽しいフレンチビストロだ。 ▲
by gomanis
| 2007-12-11 14:42
| 美食
![]() さて、わがメキシコシティーはどうなのか。週末ごとに違う店を探訪しているのだが、なかなかブログに書く時間がなかった。そうしているうちに、記憶も薄れてきたりして、まったく惜しいことだ。完全に忘れてしまう前に駆け足でレビューしたい。 まずは、Bakea(5520-7472)。 Lomas Chapultepecという、Polancoの西のなだらかな丘陵地帯に展開する閑静な高級住宅街の中に、ぽつんとある。中もこじんまりとしていて、大勢でがやがや押しかけるよりは、少人数でゆっくりと会話を楽しみながら食事するのが良いだろう。 料理は、フレンチ-バスクとのことで、カテゴリー的にはスペイン料理に入るらしい。蝶ネクタイをしたウェイターは慇懃としていて気持ちよい。料理は、全体に薄味で上品だ。 僕のお薦めは、写真のインゲンとフォアグラのサラダ。まずは見た目が麗しい。インゲンの薄緑が鮮やかだ。立体的に盛り付けられた様がまた良い。軽いソースは、インゲンの青々しい香りを邪魔しない薄味。まったりとしたフォアグラとのコンビネーションは、絶品だ。 カミサンが頼んだのは海の幸のサラダ。蛸やホタテがきれいに盛り付けられ、上に載ったグワッカモーレがメキシコを感じさせる。こちらもいい味だった。メインディッシュには、僕は、牛肉のソテー、カミサンは、仔牛のチョップをいただく。こちらは、こってりめで赤ワインによく合った。 お値段のほうは、2人で800ペソぐらいだったか(除くシャンペン、ワイン)。ちょっと気取って美味い食事をしたいときにはもってこいの店だ。 ![]() ![]() ▲
by gomanis
| 2007-12-10 15:17
| 美食
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![]() by gomanis
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